エアコン設置工事をしながら、

産業廃棄物収集運搬業の業務を行いたいとお考えの事業主様向けに、

産業廃棄物収集運搬業許可を取得するための要件について投稿します。

登録電気工事業と産業廃棄物収集運搬業許可を取得して、

家電量販店や通信販売業者の協力会社として受注する前提となる

許認可取得の情報提供をしています。

 

当事務所では、事業主様からと依頼をいただいて、

法人設立して1年以内に解体工事業登録と産業廃棄物収集運搬業許可の申請、

法人設立して1年以内に登録電気工事業と産業廃棄物収集運搬業許可の申請、

工務店として個人事業を開業して2年たった状態で産業廃棄物収集運搬業許可の申請を行い、

60日の審査の標準処理期間を経て許可となった実績があります。

もちろん、解体工事業登録や登録電気工事業の要件がそろっていることから、

これらの登録申請と登録も問題はありませんでした。

 

産業廃棄物収集運搬業許可を取得するための5つの要件をこれから説明します。

行政書士が産業廃棄物収集運搬業許可が欲しいという事業主様と面談する際にも、

以下の5項目は必ず確認しています。

許可を取るためには、以下の5つを全て満たす必要があります。

(1)講習会の受講が修了していること

(2)経理的基礎があること

(3)事業計画を整えていること

(4)運搬車両・運搬容器があること

(5)欠格事由に該当しないこと

 

5項目について、これから説明していきます。

(1)講習会の受講が修了していること

申請者には「産業廃棄物の収集運搬を的確に行うに足りる知識・技能を有する

こと」が求められます。

この要件を満たすには、許可申請をする前に 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興

センターが実施する「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に

関する講習会」を受講し、修了試験に合格する必要があります。

 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センターが主催する産業廃棄物収集運搬過程

(新規)の講習会を受講します。

講習会終了後に簡単な終了試験があります。

その試験に合格すると修了証書もらえるがもらえます。

終了することで、その知識と能力があると認められることになります。

修了証書の写しを申請の時に出すことで「産業廃棄物の収集運搬を的確に行うに

足りる知識・技能を有すること」の証明になります。

法人で申請する場合・・・取締役又は事業所の代表者
個人で申請する場合・・・申請者本人又は事業所の代表者

申請をする許可の種類によって、受講しなければならない講習会が異なります。

また、修了証には期限がありますので気をつけましょう。

期限は新規講習会修了証が5年、更新講習会修了証が2年となります。

既に許可を取得している方は、許可の有効期限と更新許可講習の受講日を確認して

おく必要があります。

全国どこの都道府県で受講しても、修了証は申請する都道府県で利用できます。

コロナ禍の現時点では、講習はインターネットによるオンラインで行われています。

また、修了試験は試験会場の収容人数よりもかなり少ない状態で行われています。

産業廃棄物収集運搬業許可の取得をお考えの方は、申込みを早めに済ませておく

ことが良いと考えます。

受講して、申請までに修了証が手元にあることが必要です。

 

(2)経理的基礎があること

産業廃棄物収集運搬業を的確、かつ、継続的に行うことができる経理的基礎がある

ことが必要とされます。

経理的基礎とは、事業者の財務基盤や経済力と考えると分かりやすいだろうと

思います。

産業廃棄物収集運搬業の事業者が産業廃棄物を適切に処理せずに廃業などをする

ことがないか、資金繰りが十分なのかをここで審査します。

判断基準は自治体によって異なりますが、具体的には以下のことを証明します。

・利益が計上できていること(損益計算書を見れば分かります)

・債務超過になっていないこと
(貸借対照表の負債の合計が資産の合計を上回っていないこと)

・法人税または所得税等を納税していること

財務基盤が悪い場合、産業廃棄物の適正な処理を行うことができず、産業廃棄物の

不法投棄や放置等の誘発につながる可能性があると考えられるため、経理的基礎が

あるかどうかが許可要件として求められ、申請時には決算書や納税証明書等の書類

を提出します。

直近3年間の損益状態や債務超過に陥っていないか、自己資本比率、税金の納付

状況等が主な判断材料となっています。

 

(3)事業計画を整えていること

事業の内容が計画的に実施され、法律に違反せず、運搬量に応じた施設や人員な

ど、業務遂行の体制を整えていること、運搬先の処分業者が処分業・中間処理業の

許可を取得していることなどが必要です。

事業計画については、

・「取り扱う産業廃棄物をどの地域(自治体)の現場で積み込んで、どの地域(自治体)の処分場で降ろすのか」

・「取り扱う産業廃棄物の種類、性状(固形、液体等)、月にどのくらいの運搬量を予定しているのか」

・「どんな運搬車両と運搬容器等を使用してするのか」

・「収集運搬を行う作業時間や休日」

・「飛散流出防止措置は、どのような方法なのか」

を明確にした事業計画を立て、申請書に事業計画書として書き込む必要があります。

業務内容・業務量に応じた施設や人員が整っていることが必要です。

収集運搬の事業計画を作成して、取り扱う産業廃棄物の種類や予定運搬量、予定

運搬先の名称・所在地、運搬方法などを記載します。

事業計画はこれから事業を行うに当たって事業主が計画していることが大事なのです

が、行政書士との面談の際に、行き当たりばったりの話をする、「考えてません。

これからですわ。」、「先生の方で、適当に書いて下さい。」ということの無い

ようにして下さい。

即時に面談を中止することがあります。

 

(4)運搬車両・運搬容器があること

運搬施設は何かといえば、運搬する車両(例、トラックやダンプ、バン型車両等)

や運搬容器(例、ドラム缶やポリ容器)、車両の保管場所としての駐車場のことです。

継続的に運搬車両・保管場所の使用権限が申請者あり、産業廃棄物が飛散・流出す

ることにより悪臭が漏れるおそれのない運搬車両・運搬容器を用意していることが

審査されます。

例えば、荷台に載せるだけの運搬では廃棄物が飛散・流出するかもしれない場合、

飛散・流出しないような措置が必要になります。

液体であれば、ドラム缶やポリ容器などこぼれない、飛散・流出することにより

悪臭が漏れるおそれのない容器を使用する必要があります。

 

運搬車両の使用権限には、自動車検査証(車検証)の使用者が申請者と同じである必要があります。

車検証の使用者が申請者と異なるときはリース契約書などで使用権限を明らかに

する必要があります。

ダンプカーなどの大型車両のうち土砂等運搬禁止車両を利用する場合、汚泥、鉱さ

い、石炭がら、がれき類、ガラスくず、コンクリートくず、及び陶磁器くずは運搬

することができませんので、取り扱う産業廃棄物にあった運搬車両を準備する必要

があります。

既に産業廃棄物収集運搬車両として登録している運搬車両を他の事業者が

産業廃棄物収集運搬車両として登録(二重登録)することはできません。

軽自動車でも申請は可能で、使用権限の駐車場があることが必要です。

保管場所が貸駐車場の場合、賃貸借契約書が必要です。

軽自動車の車検証右上の用途欄にある「貨物」だけでなく、「乗用」でも申請して

許可を取得しています。

電気工事を行う場合、工事用具や測定機器、ケーブル類を積み込んでいるでしょう。

その上、廃エアコン(室外機)を積み込むとなれば台数が限られるので、軽自動車よりも

バン型が良いと考えます。

運搬する廃エアコンの大きさと量の関係から車両の大きさを検討することは必要だ

と私は考えます。

 

(5)欠格事由に該当しないこと

許可を受けるためには、法人にあっては役員や持ち株比率5%以上の株主及び出資者、

または政令で定める使用人が、

個人の場合は事業主が以下の欠格事由にあたらないことが必要です。

許可申請までに問題がなかったとしても、許可取得後に下記の欠格要件のいずれか

に該当すれば、許可の取り消し処分を受けることになります。

・成年被後見人または被保佐人、または破産者で免責を受けていない人

・禁錮以上の刑を受けて5年を経過していない人

・廃棄物処理法などの法令に違反して罰金以上の処罰を受け、5年を経過していない人

・暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない人

・業務に関して不正又は不誠実な行為をする恐れがあると認められる相当な理由がある人

 

以上が、産業廃棄物収集運搬業許可を取得するに当たって必要となる5要件です。

 

冒頭にあった解体工事業登録や登録電気工事業のような資格や実務経験の必要は

ありませんので、想い立てば申請までの時間はそれほどかからないと考えます。